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乳癌に対する乳房温存療法1

乳癌の温存手術が全摘術と差がないことを証明した歴史的に有名な臨床試験として、Bernard Fisherというアメリカの先生が率いた、NSABPというプロジェクトのB06試験があります。

この試験では、温存手術±乳房照射(放射線治療)と全摘術を比較し、生存率に差がないことが証明されました。
なお、温存手術を施行した患者さんが術後の病理検査で病巣が取り切れていなければ、全摘術を追加しています。この場合、温存後に全摘した患者さんも温存群に含めています(ITT)。

この成績をもとに、温存療法(温存手術+乳房照射)は一般的に行われるようになったのです。Fisher先生は、ある著書の中で、手術法により生存率に差が出ないという理屈を証明するためにこの臨床試験を計画したことを述べています。

温存と全摘で異なるのは、温存手術後には残した乳房に局所再発や新規の乳癌ができる可能性があることですが、局所再発率は、術後に乳房照射をしたグループはしなかったグループに比較して、4分の1まで低下していました。

乳房温存手術と術後乳房照射を合わせて、乳房温存療法ということになります。局所再発例を含めてもなお、乳房温存療法と乳房全摘術との間に治癒率(乳癌死亡率)の差はないのです。

以下は、この試験を模式的に描いた図です。


図左から、乳房温存手術のみの群、乳房温存手術に術後乳房照射をした群、全摘群で比較しています。温存手術のみの群は、8年目で39%の局所再発があり、温存手術後に乳房照射をした群では、それが10%、約1/4まで減らせることが分かりました。
更に、8年目の生存率は、前二群を合わせた温存群と全摘群の間に全く差が出なかったのです。

 

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