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乳がんになりやすい要因(リスク因子)について

                  
教えてドクター(令和5年4月1日号)

乳癌になりやすい因子については、昔から様々なことが言われてきました。「日本人は欧米人より少ない」といった人種的な問題もその一つです。しかし、国によって食習慣などの生活環境は全く異なりますので、人種とは言っても生活環境も含めて考える必要があります。現に、昔少なかった日本人の乳癌は最近は欧米並みに増加しています。

少し前にテレビを見ていたら、女性にとって女性ホルモンが如何に重要か説明している番組がありました。更年期障害に対するホルモン補充療法という治療があります。閉経期にエストロゲンが減少することで現れる症状に対してエストロゲンを補充する治療が良く効きます。一方で長期間の補充療法は乳癌のリスクを少し上げることが分かっています。しかし、更年期症状の程度は様々で、多少の乳癌のリスク上昇よりも更年期症状の解消の方がはるかに重要な方もいらっしゃるのです。

また女性ホルモン減少と関係ある疾患として、微小血管狭心症もマスコミでしばしば取り上げられるようになりました。女性の平均寿命は男性よりかなり長いわけですが、その差を生み出す要因として女性ホルモンがあることは疑いのないところです。

上記の一口メモにありますように、女性ホルモンは乳癌を多少増加させる一方で、骨密度の維持や脂質代謝の改善など、女性を守るホルモンでもあるのです。ご自分の状況に応じて優先順位を考え、選択することが重要なのだと思います。

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